2025.08.04(月)
ピロリ菌ってなんだ?治療したほうがいいの?
「ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)」という言葉、
一度は耳にしたことがある方も多いかと思います。
最近では健診で指摘されたり、テレビやインターネットでも
話題になることが増えており、気になっている方もいらっしゃる
のではないでしょうか。
今回は、「ピロリ菌とは何か」「放っておくとどうなるのか」
「検査や治療は必要か?」といった疑問にお答えいたします。
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● ピロリ菌とは?
ピロリ菌は、胃の中に生息する細菌です。胃は強い酸(胃酸)があるため、
通常は細菌が生きにくい環境ですが、ピロリ菌は特殊な酵素(ウレアーゼ)
を使って自らを守り、胃の中で生き延びることができます。
この菌が長期間すみつくことで、胃の粘膜に炎症を引き起こし、
やがて様々な病気のリスクにつながるとされています。
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● 感染経路は?
感染の多くは幼少期に成立すると考えられており、主に家庭内での唾液・便
などの経口感染が中心です。
親や兄弟との口移しや食器の共用などによって、
知らないうちに感染しているケースが多いのです。
いったん感染すると、
自然に消えることはほとんどなく、大人になってからも
菌が残っている方が少なくありません。
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● 放っておくとどうなるの?
ピロリ菌を放置すると、次のような疾患のリスクが高まることが分かっています
•慢性胃炎(萎縮性胃炎)
•胃・十二指腸潰瘍
•胃MALTリンパ腫(まれな胃の悪性腫瘍)
•胃がん(特に萎縮性胃炎を経由するタイプ)
特に、ピロリ菌感染は胃がんの発症リスクを高めることが明らかになっており、
WHO(世界保健機関)も「明確な発がん因子」として位置づけています。
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● 検査や治療は?
ピロリ菌の有無は、以下の方法で確認できます:
•内視鏡検査時の組織検査(迅速ウレアーゼ試験、培養など)
•尿素呼気試験(簡単・精度が高い)
•血液・尿・便による抗体検査
陽性の場合は、除菌治療(1週間の内服)が基本です。
胃酸を抑える薬と2種類の抗菌薬を服用し、除菌成功後に再検査(除菌判定)を行います。
1回で約8~9割の方が成功します。
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● こんな方は検査をおすすめします
•最近、胃の調子がなんとなく悪い
•胃もたれ・むかつきが続いている
•家族に胃がんの方がいる
•過去の内視鏡で「萎縮性胃炎」と言われた
•健診で「ピロリ菌陽性」と指摘された
•「自分もピロリ菌がいるかも?」と気になっている
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● 最後に
ピロリ菌は、感染していてもすぐに症状が出るわけではないため、
気づかずに放置されてしまうことが少なくありません。
しかし、放置すれば慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんなどの重大な病気に
つながるリスクがあることが分かっています。
そのため、ピロリ菌の有無を調べるためには、まず胃カメラ検査
を受けていただくことが大切です。
胃の粘膜の状態を直接観察することで、ピロリ菌感染の有無や
炎症・萎縮の程度を正確に評価することができます。
当院では、鎮静剤を使用した苦痛の少ない内視鏡検査を行っており、
「寝ているうちに終わった」「内視鏡ってこんなに楽なんだ」
と驚かれる患者様も多くいらっしゃいます。
胃の不調が続く方や、ピロリ菌について気になる方は、
ぜひお気軽にご相談ください。
みなさまの健康を守るお手伝いができれば幸いです。
あお内科・内視鏡クリニック
院長 青木 泰孝